目の病気

保護者の方へ

ポイント 色覚について

  • 男子20人中1人に色覚異常が認められます。
  • 平成15年4月から学校における定期健康診断の必須項目から色覚検査が削除されました。
  • 色覚異常と診断された児童でも大半は日常生活に支障をきたしませんが、個人的には色覚異常の有無を確認することは意義のあることと考えております。

ポイント 斜視、弱視について

  • 視機能は小学校低学年までに完成するため、この頃の視力障害は早期治療が必要です。

このページは、特に幼児・児童を対象とした疾患をあげております。

色覚異常について

 人には、色の見え方が必ずしも同じではなく個人差があるといえますが、色覚の検査をしてみるとその結果が大多数の人とは明らかに異なっている人がいます。このような人が、医学的に“色覚異常”と診断されます。

 色覚異常は性を決定する遺伝子に原因があるため、その頻度は、男子の場合約5%(男子20人に1人)、女子の場合約0.2%(女子500人に1人)と、男子に圧倒的に多いといわれています。また、女性の約10%(10人に1人)が保因者(本人は発病しないが、病気の遺伝子を持っている人)であるため、父親や母親に色覚異常が認められなくても、お子様に色覚異常が現われることがあります

 近年、色覚異常についての理解が進み、色覚異常と診断された児童でも、大半は日常生活、学校生活に支障はないとの認識のもとに平成15年4月から学校における定期健康診断の必須項目から色覚検査が削除されました。

 しかしこのことは、色覚異常の児童について、全く配慮がいらなくなったことを意味するのではなく、個人的にはお子様の色覚異常の有無を少なくとも保護者が認識しておくことがよいのでは、と考えております。この理由としては、児童が成長して就職される場合、色覚異常があると就職できない職(航空機乗組員や海技従事者など)や、就職はできるが適切でない職(色彩を扱う職、染物や印刷業や鮮度を扱う職など)が一部にあるからです。色覚異常を知らなかったために、希望した就職が困難になる児童や就職してから苦労する児童が、近い将来現れるのではと危惧しております

 色覚異常は遺伝によるものであり、今のところ治療法はなく、どうしても良くないイメージを児童、保護者に与えます。しかし、健康に見える人でも、7~8個の遺伝病の因子を持つ保因者(発病しないが、病気の遺伝子を持っている人)であり、遺伝病と無縁な人はいないと言われています。

 色覚異常の有無を調べる事は有意義であると捉えられるか、プライバシーの侵害と捉えられるか、皆様方、色々な考え方があると思いますが、“色覚”を少しでも御理解いただければ幸いです。

色覚検査の1例
健常者は“5”と読めるが、色覚異常者は“2”と読んでしまうことがある

斜視 弱視

 通常人の視力は通常、生後1ヶ月で0.03、生後3ヶ月で0.1、生後6ヶ月で0.2、生後1年で0.3~0.4、3歳で視力が1.0見えるようになり、小学校低学年で視機能が完成すると言われています。

 視機能の評価としては、片眼ずつ、きちんと視力がでることがまず第一に大事であり、次に大事なのは両方の目で物を立体的に見えるようになることです(両眼視機能)。両眼視機能のある人は、通常本人の意識がしっかりあれば、あまり目の向きが、いがむ(斜視)ことはないですが、この機能の弱い人や無い人は、片方の目だけで物を見ることが多くなり、斜視になります。お子様が小さい頃に斜視があると、目の成長の妨げになり、放置すると目が疲れやすくなったり、弱視(眼鏡、コンタクトレンズなどで矯正しても、視力がでなくなる状態)なるおそれがありますので、注意が必要です。

近視

屈折異常を参照ください。

 また、まれに明らかな目のいがみ(斜視)がないのに、視力がでない(弱視)である児童が存在します。このような児童は3歳児検診でチェックすることが困難で、小学校の視力検査で初めて異常が指摘されるので、早めの対応が必要となります。

アレルギー性結膜炎

 この疾患の内容に関しては”結膜炎について”を参照ください。児童にこの疾患があると、目が痒いため目をこするので、まぶたが腫れたり(眼瞼皮膚炎)、めばちこ(麦粒腫)、他の結膜炎(細菌性結膜炎)を合併することがあります。

内反症

 人は子供の頃、目鼻立ちが平坦で、成長するにつれ目鼻立ちがはっきりします。このため、幼少時にはまつげが目に当たっていることがあります。この状態を内反症といいます。内反症が軽い場合は放置していてもよろしいですが、児童が目をよくこする,充血、目やにがでる場合は注意が必要です。