目の病気
網膜色素変性症について
ポイント
- 遺伝によりカメラのフィルムに当たる網膜が障害される病気です。
- 症状は、夜盲、周辺視野狭窄、視力低下があります。症状は少しずつ進行します。
- 遺伝による病気なので、治療法は現在のところ難しいです。強い光を浴びると、症状が悪化することがあります。
- 患者様の精神的苦痛を和らげ、情報を交換しあえるように、交流会(JRPS)などの活動があります。
網膜色素変性症は、遺伝によりカメラのフィルムに当たる網膜が障害される病気です。
症状は、暗い所で物が見難くなる夜盲が最初に現れ、少しずつ見える範囲(視野)が狭くなっていきます。視力に影響する黄斑部は病気が末期になるまで侵されませんので、視力は比較的長く維持されますが、視野は狭くなります。
治療方法は、薬物療法(視虹合成促進剤、血管拡張剤、ビタミン剤)などがありますが、先程記したように遺伝病のため、現在のところ治癒するのは困難です。病気の進行を遅らせるために、薬物療法以外に、強い光を浴びると、症状が悪化することがありますので、オレンジ色もしくは赤色のサングラスの装用を薦めます。
この病気の患者様を今まで診させて頂いて個人的に感じたことを述べさせていただきます。
・患者様の苦痛は、医師としてできる限り理解しようと努力していますが、本当の悩みは、同じ病気で苦しんでいる人でないと理解できません。同じ病気で苦しまれている方の交流会(JRPS)が発足されており、そういう所に参加され、悩みや辛さを話されれば、精神的苦痛は少しは和らぐのではと思っています。
・目に対する身体障害障害者の程度判定基準が厳しい。
視力も低下し、視野障害が明らかに進行しているのにも拘らず、身体障害者の等級が変わらなかった患者様を診させていただいたことがあります。自分も納得しずらく、患者様にも説明させて頂きましたが、満足されず診察室を出て行かれたのを経験したことがあります。確証はないですが、腎機能不全による透析患者や不整脈によりペースメーカーを入れられた患者様が1級を取得できるようなのですが(この方たちも苦労されていますが)、それに比べて目に対する身体障害障害者の程度判定基準が厳しいと思われます。
将来には遺伝子治療などが確立され、治療法が見つかると思われますが、今のところは、薬物療法や強い光を避けるなどを行って進行を遅らせるしかありません。
この病気で苦しまれている患者様に少しでも参考になれば幸いです。